寒い。

寒いな、と思った。

 

 

 

一定の感覚で視界を遮る白い息で手をこすりあわせる。

 

情景は、白と黒を交互に繰り返す

 

寒い、な、と思った。

 

 

今が冬であることと、深夜であること。しかもそれでいて屋外にいることが、理由なのはあきらかなんだが

 

 

果たして、

 

 

果たしてそれだけなのだろうか?

 

 

ここは空に近い。

手を伸ばせば届いてしまいそうだ。

 

 

そんなところが、ここは神の座なんだろう。

 

 

こんなところに神様なんて、いやしない。

いやしないのに

彼女は、

そう、ヒカリは、「きっと帰ってきます」と待ち続けた

「彼は必ず」強い瞳と弱々しい体に、「君のもとに?」なんて、聞けやしなかった。

 

 

目の前の綺麗な長方形の桐の大きな箱を見る。

 

 

馬鹿だね、君は。

 

 

真っ赤な花に埋まる白い手をとる。

 

 

馬鹿だね、俺は。

 

 

俺は、欲しかったんだ、君が。

 

 

彼はもうきっと帰ってきやしないよ、

その一言で君が振り向くなら

どれだけよかったんだろうか。

 

 

 

君の友人達が気を利かせて

君をここに運んでくるくらい

周知の事実に成る程、

君が好意を向けるのが

彼じゃなく俺だったら

 

 

あぁ、どれだけよかったんだろうか。

 

 

口付けた甲に、ぽたりと雫がおちる。

 

 

 

言えなかった言葉、

今君に送ろう。

 

 

――…。」

 

 

、さようなら。

 

 

寒い。

今日はなんて寒いんだろう。

芯までしんまで、冷えるようだ。

 

 

空を見上げれば、満天の星空だった。

 

 

 

高く持ち上げて離した白い手は

赤を舞い踊らせた

 

 

 

 

 

青ざめた星

まるで今の彼女のようだ

 

 

あいしてた。

 

 

 

 

 

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ごめんなさいごめんなさい←←

 

赤と言えば神様!

しんまで心まで

体の中=   のイメージ



22.10