好きだった。

好きだった。

キミが好きだった。

大好きだった。愛してた。

君以外なにもいらなかった。

 

君の、「星が好きです」と微笑んだ顔も
「魔法使いさん、」と俺を呼ぶ声も、
照れると頭をかくその仕草も、
大切に育てた林檎で作ったしょっぱいジャムも



みんなみんな、大好きだった。





俺のものになればいいと、思った。
1人で牧場を切り盛りして、同年代の女の子より荒れたその手を、
あの日俺に伸ばされたその手を、掴むことが出来たら、君を抱きしめられたら、どんなにいいかと思った。


何も考えずに君と共に暮らせるなら、他には何も望まないのに、

 

 

俺は、君を、その手を、

望んでいた俺自ら、振り払ってしまった。

 

 

君のその、綺麗に荒れた手を
こんな穢れた手で、触れてはいけないと思ったから。



俺の世界に、光を差してくれたその笑顔は、俺には眩しすぎたから。

君に、闇は似合わない。

君に、闇を背負わせたくない

君には、笑っていて欲しい

 

 

そう、思った。

君の為を思ってしたと、俺は自分に言い訳したけど、

そっか、今になって気付いた

あれは、俺を守る為

ただ、怖かっただけなんだ

無条件な幸せなんて、与えられたことがないから

いつか壊れてしまうのが

いつか君を壊してしまうのが

 

あぁ、俺が弱いばっかりに

 

 

ごめんね、君に、謝りにいこう

こんな結果になってしまって

本当にごめんね、

 

 

 

愛してる

 

 

 

星を探しに

きっと彼女は、そこにいるから

 



見えないよ、ひかり。



2208