想いを宝石に出来るなら、君に渡したいモノがある。

 

 

 

 

 

生日、おめでとうヒカリ

 

ゆらゆらゆらケーキに立つろうそくだけの灯りで、正面に座る愛しい恋人に笑いかける。

 

「えへへへへっありがとうございます」

照れたように笑いながら頭を掻く彼女は、きらきらきら。

外の暗闇を照らしだす星達より綺麗で。

 

 

え、と……これプレゼント。誕生日。」

 

す、と緊張しながら差し出した細長い青い包み紙

 

「えぇっ、すいませんありがとうございます!!!!

 

慌てながら受け取る彼女に、開けてみてと促す。

 

 

かさりかさりと包みを開ける、綺麗に荒れた手を眺めながら、緊張。

大切な人に、いやそれ以前に誰かにプレゼントなんてあげたことがないから

相当悩んだ。

 

大丈夫かな気に入ってくれるかな

 

どきどきどき。思わずちょっと身を硬くしたまま眺めていた箱は、青を剥がされ、白をあらわにしていた。

 

 

「わあぁっ綺麗…!

 

箱を開けた彼女は、きらりと顔を輝かせた。

 

安、物だけど

 

苦笑しながら言うと、彼女は「とんでもないです!」とぶんぶん首をふった。

 

 

「ネックレスですか

 

ほぅ、と見惚れるように小さく溜め息をつき、手にとってかざす。

きらきらゆらゆら。

小さな宝石が反射したろうそくの火が、彼女の瞳に揺れていた。

 

 

うんわからなくて何がいいか

 

誰かに聞こうにも聞ける相手もおらず、とりあえず宿屋の前でいつもギターを弾いているあの考古学者に聞いてみたら、「宝石がいいね」と言われた。

 

それなら彼女に渡したい、ぴったりのモノがあると、このネックレスにしてみた。

 

 

「うふふ、ありがとうございます嬉しいです」

よかっ、た……

 

喜んで貰えたみたいで、ほっとした。

 

「これは、何ていう宝石なんですか?」

 

………ムーンストーンっていう…」

 

 

どうしても、君に、渡したかった宝石。

 

 

「へえぇそうなんですか!なんだか神秘的ですね〜

 

月を月の光をそのまま閉じ込めたみたいです、と宝石を眺め続ける彼女に、思わず小さく笑いがこぼれる。

 

 

……その石言葉、教えてあげる

「え?」

 

そんなのあるんですかと言った彼女へ身を乗り出して、

耳元へ囁けば。

 

 

ろうそくの火より真っ赤になる彼女にこんにちは

 

 

 

 

想いを宝石に出来るなら、君に渡したいモノがある。

その石言葉に想いを乗せて、

君の心に輝いていて。

 

 

 

 

ムーンストーン

永遠の、愛を君に

 

 

 

(…ヒカリ)

(なんですかっ(真赤))

(…ありがとう生まれてきてくれて)

 

 

22.10