リセット、掃除

 

 

うきうきわくわく。それは、ミュージカルやお芝居が始まるような

 

 

 

 

強風が、過ぎ去った。

揺れ動く木々が短いミュージカルを上演して

冬の西日が眩しかったからカーテンはひいてあったけど、窓は開けてあったせいで、大量の砂のじゅうたん。

 

「あちゃ〜」

 

読んでいた本を閉じて、私は立ち上がった。

砂が積もった部屋は、草原に寝転んだ時の薫りがした。

あぁ、あれは草じゃなくて土の匂いなのかな、なんて。

 

箒で掃き出すと、めくれたカーテンからのぞく陽で、舞い上がった砂は光のシャワー。

冬の天の川、なんて事を思って、1人笑った。

 

 

綺麗になった部屋の窓から身を乗り出すと、冬独特の、ツンと冷たい匂いがした。

マンダリンオレンジの夕陽を眺めたら、なんでこんなに切なくなるのかな?

 

だけど真上の空は夜の支度。

お日様の色と夜の色が綺麗に並んでいた。

太陽は、明るさは世界中いつも半分は届くのに、色をつける力はこんなにちょっとしかないんだ

ってちょっと太陽に親しみが湧いた。

 

 

さぁ、もうこんな時間だから。

こんな事してる場合じゃないわ

 

 

きっともうすぐ彼が来るわ。

あの扉を控えめに叩いて、彼が顔を覗かせるんだわ。

ろくに食事もしてこない彼に夕食をご馳走しなきゃ。

ご馳走できるほどじゃないけど、腕によりをかければきっと大丈夫。

そして食後に彼の好きなコーヒーを入れて。

 

さぁ、今日も星を見に行こう。

 

 

 

ぱたん。窓を閉めた時、冬の香りがする部屋にノックの音が響いた

 

 

うきうきわくわく。それは、ミュージカルやお芝居が始まるような。

あなたと私と2人だけの舞台に、星空の照明の元、上がりましょう

 

 

幸せの演目

カーテンコールが休憩時間

 

 

 

掃除をしていたら王子様が迎えに来るなんて、まるでシンデレラみたいね

 

 

 

22.11