「アイムホーム!!可愛い私の子供たちよ!元気にしていたかい!?パパが長い長い冒険から帰ってきたよ!!」
 
 
長らくあけていた家に久々に帰れば、懐かしい匂い。そして、飛び付いてきた可愛い子供たち
 
 
「ダディ!お帰りなさい!」
「お帰りなさいダディ!!」
 
3つになる双子の頭を撫でてやれば、天使のようにふわりと笑う。
 
あぁ、長旅でそれはそれはいろいろな景色を見たが、やはり我が家が一番だ!!
 
「ところでママはどうしたのかな?」
 
 
きょろきょろと家の中を見回してみても、愛する我が妻の姿どころか気配すらない。
不思議に思いながら尋ねれば
 
「マミーならひろばで会えるよ!」
 
…?あぁ、町の広場にいると言うことか!そう繋ぎ合わせた思考回路に頷いて、子供たちににこりと笑う。
 
 
「じゃあ、迎えに行こうか!」
「うん!!」
 
 
双子の手を引いて外に出れば、おぉ、久々に見た町の人々!
長旅の苦労を労ってくれているのか、お疲れさまですというような目でこちらを見ていた。
ありがとうございますと言う意味を込め、笑顔で会釈をして返しながら歩く。
 
今日はやけに人が多いなぁ、いやこの町も変わったという事か。
 
 
「それで…ママはどこかな?」
「まだいないみたい」
 
 
広場に出来た人だかりの中、辺りを見回してみるが、それらしき姿はない。
(まだいないみたいって…ママははぐれないものだと思っているのかな?全く、可愛い限りだ!)
娘の幼さ故の思考に微笑めば、辺りがざわめき始めた。
 
「ん…なんだ?」
 
なにかあったのかと背伸びをすれば
 

「あーっ!マミー!!!!」
「すごーい!舞台にのぼってるよー!」
 
 
ゆーめいじんゆーめいじんと
前方を指差し喜ぶ子供たちの隣で、絶句。
 
 




あぁ、だって、あれは―
 
 


 
「これより、罪人ローレイアの処刑を行う!」
 
 
 
娘、指差すは処刑台
‐響くは妻の名‐
 
 
 
痩せこけたママと美しいギロチンの刃が、とても綺麗だった。
 
 
 
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