「うん、俺こそありがとう。絶対幸せにするから。」
そう言って、添え続けてくれていた手を頬から外して、アタシの左手をとった。
「この、男、ユウキは、ヴィヴィの為ならっ、たとえ火の中水の中!病めるときも健やかなるときも、これから先ずぅっと、側にいて、愛し続けることを、誓いますっ」
月光に照らされたユウキはとってもキレイで、かっこよくて、
言葉1コ1コ
どれも夢みたいで…。大事に反芻してる間も、見つめ続けた。
と、左手に、感じたことのない感覚。
反射的に手を見れば、薬指には、きらきらと光る、青い宝石の指輪…。
「青い羽で作ってもらったんだ。そうすれば羽、なくさないでしょ?」いたずらに笑って、コレ、俺の分っ。はめてくれる?と片割れを差し出すユウキにただ従って、それを受けとる。
もう一度、確かめるように左手を見れば、確かにそこに存在する、愛の証。
「っ…アタシ…!アタシもっ、火の中でも水の中でも汚いところでも!ずっとユウキの側にいる!ユウキについていって、ユウキを愛し続けます…っ!!」
『幸せ』って感情が、ぐるぐる廻って、つき上げて…きっと、「感極まる」ってこんなカンジ。
ぎゅうっと両手で握ってた、とってもキレイな指輪を ゆっくりと片手に移して。
「もう泣かせねーよ」
って言うユウキの左手薬指にはめた。
添えていた方の手をぐいっと引っ張られて、抱きしめられた。
いつもなら恥ずかしくて、
このバカ!とか思ってもないこと言いながらつきとばしちゃうけど、
まさか踏めると思ってなかったレッドカーペットとか、初めて見たタキシード姿のユウキとか、似合ってるって言ってくれたこのドレスとか、左手に光る指輪とか、
嬉しくて 幸せで 新鮮で、
子供じみたアタシは今日は出番じゃない。
初めて踏み入れた新しい世界に、今日は浸りたかった。
「幸せ…。」
本音をこぼせば、背中の手は強くなって。
それでも「約束破ったら、怒るわよっ」ってスパイスを利かせれば、「ははっ頑張りマス」と、
幸せにすると誓った彼は、普段の彼。
「そろそろ帰ろっか。」
優しい彼の声に体を離して、差し出された手をとる。
そして一歩踏み出したところで、
「あっ!!?」
とユウキが窓の方へ叫んだかと思うと、すごい力で引っ張られて外へ出た。
「なっ…何!!?」
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